OSSC安全ダイビング勉強会で事故対策研究|DIVE BIZ SHOW 2012

昨日は早朝出発の日帰りで大阪へ行って来ました。

目的は2つ。

1つ目は、大阪地区スキューバダイビング安全対策協議会主催で開催された
第1回OSSC安全ダイビング勉強会への参加。

2つ目は、夕方から「DIVE BIZ SHOW 2012」見学のため新大阪のメルパルク大阪へ。

では、それぞれついて。

第1回OSSC安全ダイビング勉強会

今回が第1回目となったOSSC安全ダイビング勉強会。

最新情報

会場は、2年前に受講した「救急再圧員」資格取得講習会

のときと同じ、築港の大阪港湾合同庁舎内海保監部7F会議室。
安全ダイビング勉強会会場
講義をしてくださったのは、
大阪海保監部 警備救難課 担当者の方から始まり
→OSSC会長
→ダイビングショップオーナー
→関西潜水連盟会長
の順。
安全ダイビング勉強会画像1
前後の手短な挨拶も含めて、とにかくダイビング事故のお話に終始した1日(というか5時間)でした。

趣旨は、一般的に知らされるダイビング事故のニュース等のレベルでは知ることが難しい、もう少し突っ込んだ内容の事故情報を知り、今後の安全対策に役立てようというもの。

引き上げ実演
実際、名前はあげませんが、事故当事者の方による事故状況報告もあったりして、こんな詳細内容はまず通常は知り得ない貴重な情報でした。
そして、これまでの自分の経験の範囲で置き換えてみても、あり得る話しである訳で...そう考えると明日は我が身と身が引き締まります。

結論からいくと、文字通りニュースレベルの事故情報以上のものや、ちょっとした新しい情報が得られて有意義な時間を過ごせて良かったです。

今回のことを頭に入れ、今後の安全対策に役立てていきたいと思います。

記載して問題なさそうなものをいくつかご紹介。

シグナルフロート(水面用棒状フロート)の水面視認距離、は波が殆ど無い水面で400m!500m離れると見えない

海保さんで実際に実験したそうで、立ち会った民間の方もおられました。 数値を出してもらえるとわかりやすいですね。

当然波が高くなるほど距離は近くなります。
ちなみに、スライド画像で見せていただきましたが、シグナルフロート無しで水面に漂う人を船上なりヘリ上から探した場合、30mの距離でも見つけられない...(ボートダイビングでボートに乗ったことがある人なら想像尽きますね。数値が出ていたのが新鮮でした)

フロートの口にオクトパスからエアーをパージして入れ、水中から打ち上げることも可能です。フロートの口部分にウエイトが入っているので水面でしっかり直立しやすくなっています。7m分のロープ付き◆フロートサイズ:1.2m◆カラー:オレンジ◆7メートルのロープ付き

携帯電話で118通報した場合、リアルタイムで位置情報が通知される(会話がされれはその時点で)

これ結構驚きでした。

第5管区海保では、携帯電話からの通報で応答が成立した時点で、ほぼリアルタイムに位置情報が通知されるとのことです。

機器の性能によるものだと思うので、これは第5管区海保だけでの話しなのかもしれませんが、GPS経由で携帯電話等の発信地を突き止めるのはほぼリアルタイムという時代になっているようです。

一昔前のドラマのように、「発信元を突き止めるためにもう少し会話を引き伸ばせ!」みたいな時代ではなくなったのですね~。悪いことはできません...

能登島DRの師匠とも話してたんですが、
ダイブコンピュータに緊急通知ボタン(GPSビーコン?)機能が付いたらいいのに..って。
衛星用とかでなくても、緊急的に携帯電話網を使ったものでも十分有効なんじゃないの!?って話です。
水面を流されて遭難したりした場合、たぶんこれが一番有効では?

Garmin(ガーミン)の新ダイビングコンピューター『Descent Mk2』『Descent Mk2i』10月22日に発売
Descent Mk1 は最新のダイビングコンピューターが持つ機能にフルカラーマップとGPSナビゲーションによる位置情報を提供可能なダイビングウォッチ。GPSによりダビングのエントリーとエグジットをマークし、水中ではビュールマン ZHL-16c アルゴリズムの計算式で算出されたデータでぴったりな浮上指示を行います。さらにダイビング中でもトーン&バイブレーションアラートにより情報や危険性を的確に通知します。時計として洗練されたデザインでありながら、ダイビングアドベンチャーを楽しむための機能を装備した究極のダイビングウォッチです。

平成19年度(これが最近の集計とのこと)のダイビング事故は42件でうち17件が死亡事故

国内の話です。ちなみにここ数年でピークは平成15年で53件中23件の死亡事故。
安全ダイビング勉強会画像3
・37%が知識技術不足
・経験5~10年が最多事故(死亡は経験1~3年が最多)
・年齢は40歳代が最多で次は30代
・男女別事故比率はほぼ同割合だが、死亡事故は男が7割以上
安全ダイビング勉強会画像4
海保の方も、もう少し技術と知識を上がることを期待してたようでした。私もそう思います。

海保潜水士は最初の3ヶ月はプールと5~6m水深の海で過ごしてから深い所へいく

毎日専門的な潜水訓練をしている屈強な肉体を持つ人たちでさえ、潜り始めてから3ヶ月間は6mくらいまでの深さまでしか潜らないのに、そうでない一般の人たちは...と、言いたげな海保の担当者さんでした^^;

これは実際の事故例で、初めての海洋実習で19.9m潜って起こった事故の話の時でした。
私もそれきいて「それはないやろ~」って思いましたが、海保の潜水士のように3ヶ月も浅場でみっちり訓練しないと潜りたいところで潜れない!ということになれば、誰もダイビングしたくなくなるかも?とも思います。

要は、民間のCカード(特に初級レベル)を取得したくらいで一人前になったつもりで慢心するな!ということでしょう。

2日や3日間で取得できるCカードはそれ相応のレベルであって、それ以上ではありません。ダイビングを続けるならば、適切にレベルアップしなければならないのは当たり前で、そういうルールにもなっています。
でも、2,3日で終わった最初のオープンウォーター認定でもう十分とおもっているダイバーが日本には多すぎると思います。
それと、自己責任の意味を理解せず「人のせい、物のせい、環境のせい」にして、何かあったらインストラクターがアレしてくれなかったから!?的な甘い考えの部分が日本人には多すぎる...と思います。

訴訟での判例

具体的な話しは差し控えますが、色々ダイビング事故に関する判例が出来てきているようです。
これはダイビング関係者からすると、「えっ!?それでは成り立たんやろ!?」みたいなことが増えつつあるということです。

ダイビングをしたことがない裁判官の方の判決が多いようで、ダイビングショップやインストラクター等に対して厳しい判決です。

このままこういう判例が増えていくと最終的にどうなるか?

ダイビング料金が高くなると思います。それも現状からしたらあり得ないほどに...
で、結局ダイバーの方たち自身が、潜りたくてもめったに潜れないような事態になるような気がします。

昨日の話でもありましたが、法的にそこがそう締め付けられるなら、もうこの値段ではやっていけない!的な声は当然上がってきます。

モノの値段は、原価とか物質的なもの以外では、事故リスクや事故がおこる確率、お客様自身のオウンリスク(自己責任)理解度合い等の微妙なバランスによって決まります。
特にダイビングは、Cカード認定のレベル等によりお客様自身の事故管理・オウンリスクの了解の上で成り立っているレジャーです。
海外のいくつかではそこがハッキリしており、お客様が死んでもお店やガイドに過失がなければ責任は問われない、が成り立っています。
これまでも日本ではそこの成立が全く不完全で、その分のリスクはお店やスタッフが負っている、みたいな状況の中で現状のコストダウン競争を戦ってるような部分があります。

でも、上記のように「事故が起こる確率低減」に特化したような法的縛りが今後厳しくなる一方になり、一般ダイバーの方が今のままの低い自己管理能力で大多数がオウンリスクを理解しないのであれば、このレジャーは成り立たなくなる。

何でもそうだと思うのですが、「値段が安い」というのは「オウンリスク度合いが高い」ということになるかと思います。
購入したものが「物」であれば、失敗したら送料や手数料を差し引いて返品などもあり得ますが、人の命に返品はありません。

もちろんレジャーダイビングは遊びであり、楽しむため潜るものなんですが、その上で「自分自身が死なない為にどうするのか」を潜る人自身がしっかり考える必要があります。「インストラクターについて行ったら大丈夫!」的な安易な依存心ではなくて。
そして、そういう自己管理がちゃんと出来るダイバーを作って育てていくのが我々ダイビングインストラクターの仕事なのだと思います。 或いはそういう趣旨で活動できるインストラクターを作るのことも。

もう一つ。稀に「死んだら死んだ時、ダイビングしながら死ねたら本望」みたいなことを聞くことがあります。確かに潜るのが好きでそう思ってるんなら本人はそれでいいのかもしれません。だから例えば心臓病等で通院していても、ダイビング前の病歴確認書類等で嘘を記入したり...
でも、その方が本当にダイビング中に死んだら...
事実を証言してくれるご本人様はいないのですから、まず間違いなく、事情を知らないご遺族の方が感情に任せて誰かを訴えます。

その相手は大抵ダイビングショップやインストラクター。
するとどうなるか...

事故にあわれた方のご遺族の気持ちからすると、わからないでもないですが、そもそも陸上と違って死ぬ危険性がはるかに高い水中で活動することを本人が望んでライセンスを取得し、潜る訳で...
そして一緒に潜るインストラクター等は、安全に楽しませたりスキルアップさせたげようとか思いこそすれ、その方を殺そうと思って潜ってる人など一人もいない、と信じます。

となると「自分自身が死なない為に何をするのか」と同時に「自分の遺族を悲しませたり他人に迷惑をかけないために」という考えもいれてダイビングするしないの判断を自分自身でしましょう!するならきちんとレベルアップしましょう!ということになりますね。自分の意志で。

とまあズラズラと書き記してきた訳ですが、結局のところ事故なんて誰も起こしたくない訳で...それに自分の周りではおきないだろうってみんな思ってる。

でも実際起こってるんですよね。
まずはそれをみんなが知ることから始めないと...といったところでしょうか。

私自身仕事の上で事故を起こさないために!を常に念頭に入れて行動するのは当たり前のこととして、いいダイバーを作って、いいダイバーに育てること、の重要性を再確認した1日でした。

DIVE BIZ SHOW 2012 大阪

会場は新大阪のメルパルク大阪です。
bizショー会場

bizショー1こちらも今年が初回となった新商品等の展示会は、26社のダイビングメーカーさんが集って開催されていました。

bizショー2個人的に自分自身物欲が強い方なので、こういう展示会は大好きです。

色々物色してきました。

全部仕入れることができるといいんですが...
bizショー5経済的にそれは無理なので、これから色々検討し、夏前までに何を仕入れるか!?悩んで決めてこうと思います。

bizショー3

新しめの商品を使って一つ考えてることがあるのですが...

それはまた追々のお楽しみということで。

という訳であとはギャラリーの撮影画像で。(ピンボケ苦笑...)

2012年2月撮影海フォトギャラリー|南紀白浜スパダイブ

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事